子どもの箱庭療法

箱庭に玩具を置きながら表現してもらう技法です。就学前や小学校低学年くらいの子どもさんですと、箱庭遊びになることもあります。砂場で遊ぶのと一緒の感じでして、遊戯療法に近いかもしれません。思春期年齢くらいになると、目的を説明して導入したりします。


箱庭では治療者の存在が重要とされており、その意味や役割については様々に考察されています。箱庭自体にも癒しの効果はあると思いますが、やはり治療者がそこにいる、ということが重要です。


日本に箱庭療法を導入・普及したのがユング派の河合隼雄先生ということもあり、我が国における箱庭表現の理解の仕方はユング派の考えに依るところが大きいようです。

箱庭療法では、治療者や患者さんが言葉で何かを言わずとも、箱庭を作っているだけで治療が進展していくことがあって、とても不思議です。言葉での表現が苦手だったり、何かを作ることが好きだったりする子どもさんには向いているかもしれません。ここら辺はユング派の治療経過の雰囲気と似ているな、と感じることがあります(ユング派では主に夢を扱いますが)。

箱庭だけで治療が完結するということはなく、何回か箱庭を作っていたけど、しばらくお休みして、また箱庭を作る、なんてこともあります。1回作ってみて、それでおしまい、ということもあります。


箱庭が終了した後に箱庭を片付けますが、その時に大事なことがあって(と自分は教わりました)、患者さんの目の前で箱庭を壊さない、ということ。患者さんに退室してもらってから片付けます。まあ、自分で作ったものを治療者が目の前で壊したら悲しいですよね。あと、箱庭の写真を撮っておくと、後で振り返る時の参考になります。箱庭は視覚でイメージを捉えることができるのが強みかな、と思います。

うめぼしの会

児童精神診療・研究に日々携わっている専門家の集まりです。心の問題を抱えた子どもや家族、彼らの支援者をサポートするために活動していきます。いまは準備段階ですが、われわれの実務経験をもとにして何ができるか考えているところです。

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